個人目標を持つことは、介護職として長い期間働くために大切だ。介護職のキャリアパスは、一本道ではなく多岐にわたっている。そのため漫然と目の前の業務をこなすだけではどこへも進むことができず、進んだとしてもそのキャリアパスの先に自分が望むゴールが無いこともある。介護職としての自分の理想像を明確にし、そこから逆算して目標を設定していく作業が不可欠になる。
例えば要介護者の日々の生活を楽にしてあげたいという目標がある場合、実践的な技術に関する資格取得や、現場での経験を重要視することになる。このような目標を持った人がケアマネージャーや施設の運営者になると、間接的な要介護者の手助けしかできなくなり、自分の理想像から遠のいてしまうかもしれない。逆に要介護者の人生を豊かにする環境づくりやシステムの構築を目標としている人は、現場よりも施設やケアプラン全体をコントロールするケアマネージャーや管理職、運営などで力を発揮するだろう。
日々の身体的な介護よりも高齢者の心のケアを目的としている人は、レクリエーション介護士や音楽療法士などの分野に進むと、より大きなやりがいを感じる可能性がある。また高齢者ケアストレスカウンセラーやシニアピアカウンセラーといった、介護よりも心理カウンセラーに近い職業の方が向いていることが判明するかもしれない。最初からハッキリとした目標を掲げる必要はないが、長い期間介護の世界に貢献するには、遅かれ早かれ自分の能力を最大限に発揮できる場所を見つけなければならない。それゆえ、介護職は個人目標設定とそれを実現する計画が大事なのだ。