介護職は、営業や経営者を除いて、売り上げや顧客の数を数値で表す種類の職業ではない。数値よりも現場で日々の業務を確実にこなすことが重要視されるので、長期的な目標よりも目の前のタスクを終わらせることに集中しがちになる。そうなると日々の業務はルーティン化し、自分がどうなりたいのか、どこに向かっているのかを見失ったロボットのようになってしまうこともあるかもしれない。そのため、現場の最前線で働く介護職こそ、しっかりとした目標を持つことが重要になる。
目標が明確だと、スキルの習得も早くなる傾向にある。目指している場所にたどり着くために、自分に何が足りないのか、何が必要なのかをしっかり可視化して意識できている介護職は、日々の作業を通して常に学びを得ることができるからだ。同じ作業をするにしても新しい発見を求めるし、失敗したときもただ落ち込むだけでなく、次につなげるにはどうすればいいか考えるようになるのだ。
また、目的地のないルーティン化した作業に対してモチベーションを保ち続けるのは難しい。いくら条件のいい仕事でも、やりがいが感じられないことを何年間も毎日行うことは苦行だ。そのうえ介護という仕事は、世の中にはなければならない仕事であり、重要な役割を果たしているにもかかわらず、医者や経営者のように脚光を浴びる職業とは言えない。どちらかと言えば裏方の職種だ。そういった世界で長い間活躍するには、やはり自分が納得のいく目標設定をすることは重要なのである。